コミュニケーションのデザインと絶妙な余白  注文をまちがえる料理店の話

もりやましんぶん

2019年02月28日 10:20

注文をまちがえる料理店の話




注文をまちがえる料理店

店構えなどは普通のレストランのように見えるが、大きな特徴がひとつある。
それは、ホールで働くスタッフは全員、認知症のおばあちゃんやおじいちゃんという事。

この企画を思い立った小国さんには、以下のような経験があったそうです。

認知症の入居者から手作りの食事をふるまわれた小国さん。
この日のメニューは「ハンバーグ」と聞いていたのに、
出てきたのはなぜか「餃子」。
「間違えてますよね」と言おうとするが、そんなことはまるでお構いなしに、入居者たちはパクパク餃子を頬張っている。

 間違いも、その場にいる人が受け入れてしまえば、間違いじゃなくなるんだ……
と気がついたとき、「注文をまちがえる料理店」というワードが小国さんの頭に浮かんだ。

このユニークな視点から企画を考え、実行するためにプロフェッショナルを集めスタートさせる。
プロフェッショナルが揃い、どのような形にするべきかを考え、よくある地方ぽいB級の体験ではなく一流を目指す事にした。
その理由としては、認知症の方もお客さんもみんなが喜ぶように、どちらかが我慢しなくてもいい形にする為でもあった。


絶妙な余白


この企画の中で、物凄く考えられているなと思ったのは、コミュニケーションのデザイン・仕組みに、絶妙な余白がある事。

例えば、胡椒を挽くミルを巨大にして、おばあちゃん一人で使えないようにしてある。
こうしておくと、必然的にお客さんが手伝わないといけないようになる。
つまり、お客さんが店員さんを手伝う事で完結するという余白を設計している。
そこに関係性ができ会話が生まれます。

また、知らないお客さん同士を相席にしたそうです。
どうです?
自分が相席になった時、気まずい思いをしたことはないでしょうか。
大体の人は、気まずいような、手持ち無沙汰な時間を過ごしたことがありそうです。

なんとなく気まずい気分で席に座っていると、ウェートレスやウェーターのおばあちゃん、おじいちゃんに早くきてほしいと思ってきます。
そうなると、来てくれるだけで嬉しくなり、そこで会話が弾む。
ここでもまた、コミニュケーションのデザインがしっかり考えられています。

このようなコミュニケーションのデザインは、オフラインでの繋がりが薄れていけば、更に重要になっていくだろうと思います。
注文をまちがえる料理店



 

多様化→多層化


あと、せっかくなので同じ飲食関係の話で、興味深かったことをシェアします。
飲食業界を含め、今後は多様化から多層化になっていくだろうというお話です。

店主に特にこだわりがなく、お金儲けの為に名乗っているだけの”〇〇専門店”を見ることがある。飲食店に限ったことではないが、こだわりがないお店には魅力もなく潰れて行く。
結局、売れそう・差別化したい というだけの”専門店”は淘汰される。

ものや情報が溢れる時代だからこそ、"何の為にやっているのか"というこだわりがないと、お客から見て魅力のない店になってしまう。
上辺だけ取り繕ったようなお店は、見透かされ、淘汰される時代。
これからは、一見してわからなくても深掘りすると、
細部にこだわりがある、魅力あるお店や会社が残っていくということです。

では魅力あるお店にするにはどうしたら良いか。
食事を例に考えると、美味しいと感じる基準は、性別や国や日常的な習慣でもひとそれぞれ違う。
共通することがあるとすればそれは、
楽しい事、嬉しい事、感動する事、面白い事
が好きだということ。

そういったことが感じられると、人々は、お店やあなたを魅力的だと感じてくれる。
冒頭で紹介した"注文をまちがえる料理店"の、細部にわたるこだわりのように、
これからは多層的な、深掘りの時代に入っていく。
僕も楽しいことや面白い事を実践して、魅力ある人になれるようにこれからも頑張っていきたいと思います。




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